【このフォーラムで私がお伝えしたいこと】

NPO法人生き活き元気塾 代表理事
本 多 慶 吉

超高齢社会の様々な問題の一つに介護者の抱えている過大な心と身体のストレス、健康問題があります。
すでに起きている、高齢者虐待、無理心中、自殺や殺人、介護放棄、そして老老介護、認認介護など。
ニュースで最近よく見かけるようになりましたが、今後この様な事件が更に増えていく事が現実的に予想されます。
現場で苦しんでいる人たちは、まったなしの状況です。
また、この社会問題は家庭や介護業界だけでなく、今後企業でも仕事と介護のワークライフバランスとして、介護のために人材を失う問題が増え、深刻な課題になってくるでしょう。

介護によって抱え込んでしまう、身体的、精神的、そして経済的ストレス。介護者は一人で抱えて、頑張ってしまいます。だって親だったり、妻であったり、夫だからです。助けを求められない方が多くいます。介護や看護は突然きたりします。それは、普段から考えにくいことで、すぐに対応できないこともあり、一気に余裕が無くなってしまうことも原因としてあるでしょう。

私が何故、この問題解決取り組もうとしたのか。

それまで私は、ただ単に体力UPやダイエット、メタボ対策に明け暮れる、松岡修造のような熱くさわやかなスポーツインストラクターでした。社会問題なんてほとんど関心なし。
そのスポーツクラブ退社後に勤めた重度の認知症介護デイケアでの仕事で、凄まじい家族の介護現場を体験したからなのです。

介護する家族の疲弊、逼迫した姿を目の当たりにし、大変ショックを受けました。
当時メンタルクリニックの重度認知症デイケアセンターに勤めていた私が、先生の指示でお薬をある家庭に届け言ったときの事です。
イヤホンをならし、応答のないまましばらくすると、ドアがいきなり開いて、凄い勢いで若い女性が飛び出してきて、いきなり私の手を強く握り締めてこう叫んだのです。

「先生!助けてください!親がおかしくなって、わけがわからなくっているんです。
もう大変で、助けてくださいませんか・・・」


白衣も着ていない私服の私を、先生と間違えるほどパニックに陥っている奥さんの姿は、非常にショックでした。

要介護者ももちろん大事。しかし、介護・看護する側の健康問題も非常に大事なのであります。
私は、この問題や事件が起きる前に出来るだけ未然に防ぎたい。では私に何ができるのか?

答えは、「介護ではなく長年培ってきた強みである健康運動指導を活かそう」でした。
元気なうちから介護をされないようなカラダ作りをすれば、介護されずに済む。そんな方たちが増えれば、介護する方たちの負担も減る。
介護職を失業に追い込むくらい、高齢者の方たちにいつまでも生き活き元気にピンピンころり人生を送ってもらいたい。そんな願いがとても強くあるのです。

そのために、私は、大きいビジョンとして

「元気で楽しく、健康的に長生きのできる高齢社会・地域社会の実現」を目指し、

小さいビジョンとしては、今回

「介護者が生き活き元気に過ごせる世の中づくり」

を掲げて、プロジェクトを立ち上げました。

今回、この介護者の心身の健康問題を世の中に発信し、一人でも多くの方に関心を持ってもらいたい、悲惨な事件を少しでもなくしたいという強い思いでフォーラムを開催しました。 
メインの対象は介護職の方達と家庭での介護者ですが、他、関心のある方や予備軍である一般市民です。
現実の重いテーマです。

だからこそ、この問題に対して明るく前向きに「生き活き元気力」をテーマにメッセージを発信し、今回のフォーラムが少しでも問題解決のきっかけになればと思っております。